有料

6割弱 宿泊再開できず 能登、観光の復興不透明


6割弱 宿泊再開できず 能登、観光の復興不透明 石川県七尾市の和倉温泉で営業を再開した旅館=20日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震で大きな被害を受けた石川県6市町にある宿泊施設のうち、58%が6月下旬時点で宿泊客受け入れを再開できていないことが20日、県への取材で分かった。施設被害が大きく、復旧が進んでいないため。再開できた施設も復旧関連の業者や支援者らの宿泊拠点となっているケースが多く、一般客受け入れは約1割にとどまる。
 被災地では、20日に再開した七尾市の「のとじま水族館」など観光施設の営業再開も増えてきたが、家屋の公費解体や、インフラ修復といった住民の暮らしに直結する復旧作業が途上の段階で、観光業の本格復興までは見通せない。
 県によると、6市町のホテルや旅館、民宿など314施設のうち、183施設が宿泊客を受け入れていない。再開した131施設のうち99施設は受け入れを支援者や業者に限定し、一般客は泊まれない。
 七尾市の和倉温泉では海沿いの旅館の被害が大きい。港の護岸の損壊も影響し、復旧が進んでいない。和倉温泉旅館協同組合によると、加盟21施設のうち一般客の宿泊再開は2施設のみ。約半数は復興事業者を受け入れている。組合の担当者は「経営維持のためにも、作業員が泊まってくれることは重要だ」とする。
 観光施設では、夏休みを前に、営業を本格再開する動きもみられる。志賀町の能登金剛遊覧船は、損傷した船を修復し、7月中旬に毎日運航する形に戻した。運航会社の木谷茂之社長は「できるところから通常通りに戻したい」と語った。
 ただ、県内の海水浴場は津波や液状化などの影響を受け、昨年は19カ所開かれたが、今年は11カ所にとどまる。能登半島北部では、能登町の1カ所だけとなった。