米保守系有力シンクタンク「ケイトー研究所」のダグ・バンドー上席研究員は9月、沖縄の米軍基地問題についてレポートを発表した。県民が根強く反対する辺野古新基地建設問題について「日本政府は日米同盟全体にとって不可欠なものだと見ており、現行計画に固執している」と問題視。日米が米軍の駐留を維持すると決めたとしても「その負担は日本全体に、より均等に分散されるべきだ」と訴えた。
レポートは「大日本帝国の罪に苦しむ沖縄、ワシントンは国防総省の支配から島を解放するべきだ」との題名。沖縄に集中する米軍基地を巡り、米中対立が深まるなか「(県民の)83%もの人々が沖縄の軍事基地は有事の際の攻撃対象になると考えている」と紹介。基地集中の歴史的経緯を説明した上で「県民はこのようなリスクを自ら選んだわけではない。米国は沖縄を占領しながら、この島を主要な軍事拠点に変えた」と指摘した。
基地が残り続ける背景として、日本政府は周辺地域における米国の軍事的プレゼンスを望む一方、米政府は多額のホスト・ネーション・サポート(思いやり予算)を提供している国に軍事施設を置きたいと考えているとし「この完璧な円環は沖縄県民を排除している」と疑問視した。
米兵による相次ぐ性的暴行事件で、玉城デニー知事が「米軍の透明性の欠如に苦言を呈した」ともした。
8日の県議会9月定例会一般質問で、当山勝利氏(社大)に訪米の成果を問われ、玉城知事はこのレポートを紹介した。
(知念征尚)