有料

普天間問題で対立鮮明 立候補者アンケート(1) 基地・安全保障 特定空港 見解に違い 全候補 地位協定改定 辺野古 意見分かれる 自衛隊配備 違い顕著


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 琉球新報は27日投開票の衆院選に向け、県内4選挙区の候補者16氏、比例単独で九州ブロックに立候補した2氏に政策アンケートを実施した。項目に沿って、選挙区ごとに回答結果をまとめた。基地問題や安全保障の項目で、普天間飛行場の辺野古移設についての質問には、自民の4氏が「日米合意に基づく辺野古移設」を容認や推進する考えを示した一方、「オール沖縄」の4氏は辺野古新基地建設に反対し、普天間飛行場の無条件閉鎖・撤去を訴えた。維新新人2氏と無所属元職は独自案を打ち出し、れいわ新人は県外、国外移設を訴え、参政の3氏は移設を見直し、既存施設への統合を主張した。政党、候補者の間で、対立軸が明確となり選挙戦の大きな争点となりそうだ。 (’24衆院選取材班)
 1区
 1区は特定利用空港・港湾への考え方や米軍普天間飛行場移設問題、米軍基地負担軽減策、中国への対応などについて、見解に相違が出た。
 下地幹郎氏=無所属=は特定利用空港指定について「賛成」とした上で「整備に関しては防衛省ではなく沖縄県が行うべき」と主張した。
 国場幸之助氏=自民=は「抑止力維持のため、平時からの備えが重要」との考えを示し、制度の意義は認めつつ急激な拡大は避けるべきとした。
 和田知久氏=参政=は制度に一定の理解を示した一方、政府の進め方には「米軍の指揮下に自衛隊が入り、戦争をさせられる」と苦言を呈した。
 赤嶺政賢氏=共産=は制度を取りやめるべきだと主張。「政府の言う国民保護はごまかし。戦争を起こさせない外交努力こそ必要」と批判した。
 2区
 普天間、嘉手納基地を抱える沖縄2区では、日米地位協定については不平等条約であることや県民を守ることなどを理由に全候補者が「抜本的改定」を訴える。一方、普天間飛行場の辺野古移設への考え方は、各立候補者の主張が分かれた。
 今野麻美氏=参政=は「状況の変化を踏まえ見直しを検討すべき」とし、日米両政府による計画再検討を求めている。
 宮崎政久氏=自民=は「普天間の危険性除去が最優先」として日米合意に基づく辺野古移設の推進を訴える。
 赤嶺昇氏=維新=は「辺野古の埋め立て地を県有地にすること」などを条件にした容認の立場を示す。
 新垣邦男氏=社民=は「辺野古反対は県民の民意」とし、普天間飛行場の無条件閉鎖・撤去を主張する。
 3区
 米軍普天間飛行場移設に伴う辺野古新基地建設が進む名護市を抱える3区では、辺野古移設の賛否は意見が分かれた。在沖米軍基地の在り方や負担軽減についても整理縮小と「自衛隊に置き換える」に割れた。
 屋良朝博氏=立民=は「普天間飛行場の無条件閉鎖・撤去」を求め、辺野古新基地建設に反対の立場を示した。負担軽減では「その他」を選び早期の整理縮小を訴える。
 島尻安伊子氏=自民=は「日米合意に基づく辺野古移設の容認」の立場を示す。在沖米軍基地の在り方や負担軽減については、自衛隊に置き換えるとした。
 新城司氏=参政=は、辺野古移設について「移設を見直し、在沖米軍既存施設に統合」を訴える。在沖米軍の負担軽減については自衛隊に置き換えるとした。
 4区
 政府は南西諸島の防衛の「空白地帯」を埋めるためとして、離島に駐屯地を開設するなど自衛隊の配備・増強を加速させている。離島を多く抱える4区の候補は、南西諸島への自衛隊配備・増強に対する考え方で違いが際立った。
 金城徹氏=立民=は「安全保障環境の整備ばかり語られるが、標的とされる危機の問題は放置」と反対する。
 山川泰博氏=維新=は「安全保障や自然災害などの派遣対応への貢献度は大きい」として、容認の立場を示した。
 西銘恒三郎氏=自民=は賛成の立場。「南西諸島の防衛強化で『平和』を永続させることになると確信する」と主張。
 山川仁氏=れいわ=は「緊張をこちら側から高める南西シフトには強く反対」と主張。住民避難計画にも疑問を呈した。