【交差点】遠くで見る自国


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 何とはなしに日本からの海外放送テレビ番組を見た。現代の日本の若者へのインタビューであった。戦争を知らない若者世代へのインタビューとのことで、日本の国や日本人のアイデンティティーなどについて質問していた。

 その中で「こんな国=日本は、なくなってしまってもいい…」と、インタビューに平気で答えていた。最近に言う感情的に「キレテ」しまっての発言ではなく、話の前後からして普通の落ち着いた雰囲気での言葉のやりとりであった。だからこそ、海外に暮らす私には心のどこかに何かしら重くのしかかってしまったのである。
 よそ人(外国人)は、何らかの許可なくば原則的にその国には居られないのである。一時的にしろ、長期にしろ、である。当然と言えば何のこともないようだが、一体、自らが属する「国」なくして「国外でどう住み、どう生きることができるだろうか」、「我(ワレ)自ら属す国有るが故に、海外でも我(ワレ)在り」なのである。もちろん、自らの国を否定して他の国を「好みで選択」するのもあるのだろうが…。
 日本を離れて海外に暮らすと、いや応なしにも自国、日本がついて回るのであり、しかも、なくてはならない存在なのである。
 往々にして国内に居てはその重大さや必要性をそれほど感じ得ないのかもしれない。やはり今一度外から自国を見つめ直すのも良いのかも。必ずや思いがけない魅力をそこに見つけるに違いない。
 若者よ!あなたの日本を遠くから眺めてみてはいかがですか!
(仲宗根信明県産業振興公社福州事務所長)