宮古上布の“母”たたえ 「稲石祭」開催、発展誓う


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稲石祭で宮古上布の継承、発展を誓う宮古織物事業協同組合の組合員ら=11月30日、旧宮古神社跡地

 【宮古島】国の重要無形文化財、伝統的工芸品に指定されている宮古上布を完成させた稲石刀自をたたえる「稲石祭」が11月30日、宮古島市の旧宮古神社跡地で行われた。

関係者らが集まり、宮古上布の継承、発展を誓った。
 稲石は、洲鎌の与人(現在の村長に相当)だった夫・真栄が、勇敢な行動をたたえられ琉球王府から間切頭主に任命されたことを喜び、王府への返礼として綾錆布(あやさびふ)という細やかに織られた麻織物を献上した。これが、宮古上布が世に知られるきっかけとなった。
 稲石祭では、神事をつかさどる「ツカサンマ」と呼ばれる女性たちや、宮古織物事業協同組合の組合員らが参加し、稲石の功績に感謝した。同組合理事長の長浜政治副市長は「世の中が変わり洋服文化となっても、宮古上布は国の重要無形文化財としてみんなが認める立派な織物と証明されている。稲石が作った上布をみんなで守り、未来に継承していくのがわれわれの大きな使命だと思う」と話し、さらなる発展を誓った。(沖田有吾)