芝居心光る舞 次々 大城光子創作集


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創作「纏」で、はしごに登った火消しが豪快に纏を掲げる場面=23日、那覇市のパレット市民劇場

 芝居心たっぷりの創作舞踊で観客を魅了した。23日の昼と夜に那覇市のパレット市民劇場で行われた、琉球舞踊「玉城流光乃会」大城光子家元の創作舞踊公演「芸歴65年の足跡 大城光子創作集―その心を継ぐ」(同会主催、琉球新報社共催)。躍動感あふれる演目や情感たっぷりの女踊、男女の掛け合いなど多彩に楽しませた。

 沖縄芝居「乙姫劇団」の花形スターとして活躍した大城家元が振り付けた創作舞踊を集めた公演は初めて。踊り手には門下生や中堅・若手の琉球舞踊家らが出演し、舞台を展開した。
 2部構成のうち第1部は扇子を手にりりしく5人で舞う「千鳥節」で幕開け。花笠を手に舞う女踊「華車」や士族の男女5組が舞う「鷲ヌ鳥(ばしんとぅい)」、「赤田花風」、躍動感あふれる平敷勇也、嘉陽田朝裕の「ザンザブロー」も楽しませた。津波安明、赤嶺啓子の掛け合いによる「多良間ションガネー」、金城美根子の一人踊り「なつかしき故郷」は情感たっぷりに舞った。
 第1部の最終演目は、昼と夜で入れ替えた。昼は「真凧(まーたっくー)」を披露。“ちゅらかーぎー凧(たこ)”と“やなかーぎー凧”を操る凧引きが登場。凧引きの平敷、嘉陽田が操る動きに合わせ、やなかーぎー凧役の赤嶺啓子、津波安明が転げ回ったり、絡まったりとユーモアたっぷりに笑いを誘った。
 夜は「纏(まとい)」を披露。男性舞踊家11人が火消し役で登場し、火事場での消火活動の模様を勇壮に舞った。最後は知名剛史がはしごに上って纏を掲げる場面は圧巻で、拍手が送られた。
 第2部の創作舞踊劇「浜」も印象的。「南洋浜千鳥」「潮汲まー」など浜をテーマにした11演目で構成し、生活感にあふれる踊りなどを連続で繰り広げた。
 全体を通し変化に富んだ踊りで飽きさせなかった。昼公演では、一部の演目で所作がそろわなかったのは惜しまれた。魅力的な創作だけに、今後もさらに完成度を高めた形で継承してほしいと感じた。(古堅一樹)