人生学んだ島へ恩返し 伊平屋にサクラとウメの苗寄贈


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
村への恩返しとして、サクラとウメの苗木を寄贈した平敷慶弘さん(前列左から2人目)=伊平屋村役場

 【伊平屋】戦後、少年期を伊平屋村で過ごした平敷慶弘(よしひろ)さん(76)=那覇市=が「村に恩返しがしたい」とこのほど、伊平屋小学校、同中学校、村役場、字前泊区へヒガンサクラとウメの苗木115本を寄贈した。

 平敷さんは終戦間もない1948年、戦争で父親を亡くした。当時、小学校5年の平敷さんと小学校3年の弟慶武さんは、母親や兄弟と暮らす沖縄市から、島で教員をしていた親類の平敷慶勇(けいゆう)さんに連れられ、伊平屋島へ渡って来た。当時、本部、伊平屋間の海上輸送に船はなく、米軍払い下げの上陸用舟艇で3時間かけて渡った。
 当時はイモとはだしの生活だったが、それでも沖縄本島での生活に比べると格段に良かったという。慶弘さんが伊平屋小学校第1期生、伊平屋中学校第4期生として卒業するまで、島は電気もなく、農作業は全て人力で、暮らしの経験と学びは筆舌に尽くし難く、全ての人生の基礎になったという。
 中学卒業後、島を出た慶弘さんは10年前から島への恩返しを考えていたという。何をしようかいろいろ考えたが、伊平屋島にサクラやウメの花が咲きほこる風景を思い、両苗木の寄贈となった。
 寄贈式のあいさつで慶弘さんは「人生で大切なことは全て伊平屋島の生活で学んだ」と笑顔で語った。(野甫英芳通信員)