朝薫五番を一挙に 野村流音楽協会 組踊地謡研修部


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朝薫五番の「女物狂」で正気を失った母役の神田千代子(手前)がさまよう場面=7日、うるま市民芸術劇場

 野村流音楽協会組踊地謡研修部(下地康雄部長)は7日、うるま市民芸術劇場で第30回自主公演「朝薫五番」を行った。30回の節目に、玉城朝薫作の組踊5演目を約10年ぶりに一挙上演。部員たちが演目ごとに分かれて競り合った。

特に「銘苅子」や「女物狂」で地謡を務めた女性部員らが高い評価を得た。
 立方は、宮城本流鳳乃會宮城能鳳組踊研究会、玉城流翠扇会金城清一組踊研究所、玉城流琉扇會平田行正琉舞組踊道場、宮城元流能史之会宮城能史組踊研究会、親泊本流親扇会親泊久玄組踊研修会が務めた。
 「護佐丸敵討」で「あまおへ」を演じた親泊久玄は、豪快さと酒に酔い二童に心を許す人間らしさを表現。各演目に出演した子役たちも、しっかりとした演技で客席を盛り上げた。
 約5時間に及ぶ長丁場だったが、立方、地謡ともに好演。最後まで飽きさせず、多くの観客が最後まで残っていた。ただ、「孝行の巻」で天から降臨した観音が大蛇を倒す場面は、見せ場にもかかわらず淡々とした印象を持った。「孝行の巻」は踊りが少ないため、なおさら演出にめりはりを付けてほしかった。
 地謡を指導した国指定重要無形文化財「組踊」保持者の島袋英治は「女性部員がいい声をしていた。みんなで歌った時も調和していた」と評価した。一方、一部の演目について「リズムが速すぎたり音程に乗らなかったりした時があった。歌が太鼓に負けて聞こえない時もあった」と課題を指摘した。