調和し響く旋律“探険” サファリオーケストラ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖縄の演奏家と共演し、来場者を多彩な演奏に引き込んだサファリオーケストラ=20日、南城市文化センター・シュガーホール

 サファリオーケストラの沖縄公演が20日、南城市文化センター・シュガーホールであった。同オーケストラメンバーと沖縄の演奏家13人が共演し、日本民謡の独特な旋律を題材にした幸松肇の「弦楽のためのシンフォニエッタ」など、演奏機会の少ない曲も演奏。洋の東西を問わない旋律を媒介に、ヤマトと沖縄が響き合う空間を、来場者とともに探検(サファリ)するような調和で会場を満たした。

指揮は元NHK交響楽団第1バイオリン奏者の前澤均が務めた。
 ビバルディのバイオリン協奏曲「四季」から「春」で幕開け。バイオリンで表現する小鳥のさえずりや春風など、土屋杏子のバイオリン独奏とともにさわやかな調和を奏でる。
 C・P・Eバッハのフルート協奏曲(ニ短調)は低音と高音の掛け合いが軽やかに運ぶ第1楽章で導入。疋田奈津子の情感豊かなフルート独奏とともに、のどかな第2楽章、劇的で急速な展開の第3楽章など表情豊かな曲想を描いた。
 モーツァルトの交響曲第27番(ト長調)は力強い第3楽章などを、ホルンなどの低音楽器が自在な弦楽器の旋律を下支えして多彩に奏でた。
 幸松の「弦楽のためのシンフォニエッタ」は1969年に作曲され、初演後に改編して数回演奏されたが、沖縄では初演。壮麗な祭典を思わせる第1楽章は低音域が強調され、きらめくようなバイオリンの音が時折重なる。第2楽章はゆったりと吹く風のように導入し、悲しみをたたえた子守歌を描く。にぎやかな祭りを表現するような第3楽章は、スケール感のある劇的な展開で締めくくる。
 最後はチャイコフスキーの名曲・弦楽セレナーデで美しい調和を聞かせ、幕を下ろした。
(宮城隆尋)