しっとりと 軽快に 朱日流・創流記念祝賀公演


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「汀間当」で生き生きと舞う古謝弘子家元=4月28日、嘉手納町のかでな文化センター

 琉球舞踊「朱日(あけび)流」(古謝弘子家元)の創流記念祝賀公演と、古謝弘子琉球舞踊研究所40周年第8回発表会を兼ねた舞台「踊い心」が4月28日、嘉手納町のかでな文化センターで行われた。古謝家元とその師である故宮城美能留の作品を織り交ぜ、師匠の芸と夢を継承・発展させていく決意を示した。

 朱日流は、宮城流朱乃会会主だった古謝が昨年創流した。琉球芸能の県外・海外普及や組踊の発展に情熱を燃やした宮城の精神を継ぎ、(1)女性による組踊の確立(2)劇性豊かな琉舞の深化(3)世界に顕現する舞踊の創造(4)次世代の教育―を目指す。
 28日の公演は、古謝が朱乃会発足を記念し1994年に振り付けた「寿・祝賀の舞」で幕開け。華やかな朱色の衣装をまとった会主や師範ら20人が現れると、客席から歓声が上がった。公演で特に会場を盛り上げたのが「農民口説・マミドーマ・稲しり」を踊った40人の子どもたち。脱穀機の描写を取り入れた宮城による構成で舞った。伸び伸びと表現する舞踊家の卵たちは、朱日流の興隆を予感させた。
 終盤は古謝が創作舞踊「汀間当」を披露。宮城が68年に古謝のおはこ芸になるよう創作した作品で、師弟の絆を感じさせた。前半は舞台の照明を落とし、「宮古根」に乗せて切ない表情でしっとりと舞った。後半は舞台を明るくし、恋物語を歌った「汀間当」に乗せて軽快に踊った。
 今回の公演に組踊はなかったが、古謝はこれまでも女性や子どもへの組踊指導に尽力しており、創流を機に活動は一層活発になるだろう。「朱日」(太陽)の名を冠した古謝と門下生たちが、今後どのような光を放っていくのか注目したい。
(伊佐尚記)