本来の「まみとーま」舞う 當山ら歌と踊り、お話の夕べ


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 八重山古典民謡保存会の當山善堂師範の制作・編著による「CD附精選八重山古典民謡集」全4巻刊行を記念した「八重山の歌と踊り・お話の夕べ」が4日、那覇市のパレット市民劇場で催された。

當山による講話のほか、門下生らの斉唱、八重山舞踊勤王流祥吉華慶の会の岸本えみ子の舞踊などがあった。「まみとーま節」に本来の歌詞に合った創作舞踊を振り付けるなど、八重山芸能に精通した當山ならではの問題提起が随所に見られた。
 「まみとーま節」は小浜島に伝わる子守歌。竹富島に渡って農作業をテーマにした舞踊「まみどーま」になり、普及したという。岸本は子どもをあやすような振り付けで、お守りをする娘「マミトーマ」の愛らしさや、マミトーマに孫を預ける祖母の愛情を表現した。
 男性が中心になりがちな三線・歌の演目は、男女の混声斉唱・交互唱を多く盛り込んだ。岸本の創作舞踊「白鳥(しらとぅやー)節」では女性だけで三線・歌を担当。澄んだ伸びやかな歌声で美男子に恋する娘を表現した。
 當山による講話では、強制移住や役人の賄い女(現地妻)など民衆の悲哀をテーマにした八重山古典民謡の特徴などを解説した。
 「黒島口説(くるしまくどぅき)」では、石垣在黒島郷友会が地元に伝わる踊りを披露。地謡も、歌の本体部分をゆったりした正調で、囃子(はやし)を早調子で歌うという地元の様式で演奏し、黒島以外の地域との違いが興味深かった。
 八重山古典民謡は、琉舞や沖縄芝居などに広く取り入れられている。「精選八重山古典民謡集」発刊と記念公演での試みは、八重山だけでなく琉球芸能全体にとって意義深いと感じた。

子どものお守りをするような振り付けで「まみとーま節」を踊る岸本えみ子=4日、那覇市のパレット市民劇場
當山善堂師範