誇りと決意三線に 伝統音楽野村流指定40周年


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「本調子仲風節」を斉唱する「沖縄伝統音楽野村流」の保持者ら=11日、浦添市の国立劇場おきなわ

 県指定無形文化財沖縄伝統音楽野村流保存会は11日、浦添市の国立劇場おきなわで指定40周年記念公演「野村流の響き」を開催した。沖縄伝統音楽箏曲保存会と琉球舞踊保存会も協力し、総勢約360人が出演。

歌三線に、伝統への誇りと、継承発展に向けた決意を込めた。難曲の斉唱・独唱や舞踊地謡など古典音楽の魅力を存分に伝えた。
 「沖縄伝統音楽野村流」は1972年に県指定無形文化財に指定され、計134人の保持者が認定された。現在、保持者は71人、保存会が認めた次代を担う「伝承者」は306人いる。
 公演第1部は、保持者による難曲「本調子仲風節」の斉唱で幕開け。三線と箏の旋律が美しい曲だが、音が少しずれていたのは惜しまれた。独唱では保持者の力量を発揮し、味わい深い歌三線を聞かせた。二揚調子の「仲風(なかふう)節」「述懐(しゅっくぇー)節」独唱は、定番の上出(あぎんじゃ)し(高音で歌い出す)と、普段歌われない下出(さぎんじゃ)し(低音で歌い出す)の両方を演奏し、旋律や歌詞の違いが楽しめた。
 伝承者約170人は、第2部の幕開けを「ぢゃんな節・大兼久(うふがにく)節」の斉唱で飾った。ずらりと並んだ伝承者が堂々と演奏する様子は圧巻で、野村流の層の厚さを感じさせた。舞踊は「寿の舞」などめでたい演目が並び、節目に花を添えた。
 10日は同劇場で記念式典が開かれ、歴代会長ら功労者24人、人間国宝3人が表彰された。理事ら個人45人、3団体には感謝状が贈られた。伝統音楽野村流保存会によると、関係4団体を合わせた会員は約6千人。過去には約8千人いた時代もあり、減少傾向にある。
 前川朝文会長らは後継者の育成などに取り組み、将来は野村流などの琉球古典音楽が国の文化財に指定されることを目指す。県指定40年を弾みとし、さらに飛躍してほしい。(伊佐尚記)