シンガポールと福州に県事務所 誘客、販路拡大へ


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 県産品の販路拡大や観光客誘致などを目的に、県がシンガポールと中国福建省福州へ県事務所の設置を検討していることが13日までに分かった。県幹部によると、早ければ来年度の設置を目指し、県の組織改編と並行して議論を進める。12月中に事務所設置の可否を判断する。両事務所が設置された場合、既存の事務所を含めた在外国県事務所の数は6カ所となる。

 両事務所ともに過去に設置された経緯があるが、シンガポール事務所はアジア通貨危機の影響で2004年、福州事務所は県の北京事務所の設置に伴い11年に閉鎖されている。
 県幹部によると、両事務所ともに県職員の所長1人と現地スタッフの3人体制を予定。設置予算はそれぞれ3千万円程度を見込んでいる。
 県は物流や観光の集積地のシンガポールに事務所を設置することで、同国以外にもアジア、ヨーロッパなどから観光客の誘致を図る予定だ。また、ヤマト運輸が宅配事業を本格化しているほか、今後は那覇空港の国際航空貨物ハブ(拠点)を活用した周辺諸国との経済活動の活発化が予想され、県産品の販路拡大も見込んでいる。
 福州事務所は、県と福建省が友好省県を締結していることから、観光・教育分野などでさらなる交流を推進させたい考え。
 一方、県庁内では予算の面などから慎重な意見もあり、設置の実現には流動的な要素も残っている。
(阪口彩子)