振興・保健施設を建設 那覇市が基本構想案


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 旧那覇飛行場用地問題の解決に向けて那覇市金城で複合施設建設計画を進める那覇市は10日、建設基本構想案をまとめた。複合施設は旧那覇飛行場用地問題解決地主会(金城栄一会長)の意見を参考に、地域振興施設「ともかぜ振興会館」(仮称)と保健センターを予定し、2019年の完成を目指す。

地主の一部には大嶺自治会館の建て替えを求める声もあるが、市は「粛々と」事業を進める方針だ。
 同問題は1943~44年にかけて、旧日本軍によって住民の土地が接収され飛行場が建設されたことに端を発する。土地の補償が戦後未解決だったが、同地主会が95年から国、県などと交渉を重ね解決策を模索してきた。沖縄特別振興対策調整費(特調費)での解決策を受け入れ、昨年9月の市議会で補正予算を計上し、事業が動き始めた。
 本年度は約280万円の入札額で複合施設の基本構想をまとめ、14年度は約500万円の予算で基本計画を策定する。16年度までに実施設計を済ませ、17年度からの着工を予定している。
 構想案で振興会館は大嶺の特性を大事に、存在を証明する空間づくりを掲げる。金城会長は「先祖の思いを伝える施設にしたい」と意気込む。
 一方、一部地主の上原和男さんら20人は大嶺自治会館の建て替えを求めて12日、那覇地裁に提訴した。上原さんらは同地主会が複合施設案への方針を決めた12年度と13年度の地主会総会決議は一部の会員に連絡がなかったなどとして無効を訴えており、25日に初公判が開かれる。
 金城会長は「総会は正式なものだった」とし、那覇市も金城会長に同調している。
 上原さんによると大嶺自治会館は築39年で老朽化が進み、耐震構造などの面でも問題が指摘されている。建て替えには市の補助も出るが、多くは自治会が負担するため地域の負担が大きい。「旧地主の多数の意思」として自治会館の建て替えを訴える。市内8カ所に建て替えを訴える横幕を掲げている。
 金城会長は元の大嶺集落にいた350世帯中150世帯ほどしか今の大嶺集落には移っていないと指摘し「大嶺の人はもちろんだが、全県に広がった土地にゆかりある人、多くの人に大嶺の歴史や文化を伝えられる施設にしたい。完成すればきっと理解が得られるはずだ」と強調した。

市が複合施設への建て替えを予定している市保健センター=那覇市金城