台湾漁船を禁漁 漁業署、域外操業で処分


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台湾漁船が発見された場所

 日台漁業取り決め(協定)の適用水域外で操業していた台湾漁船「全吉慶326号」(34トン)が4月30日、水産庁の漁業取締船による追尾を受けたにもかかわらず、取り調べを拒否して逃走していたことが8日までに分かった。

台湾の水産庁に当たる漁業署は同日、琉球新報の取材に対し、6日付で同漁船を2カ月の操業停止処分にしたことを明らかにした。
 漁業署の調査によると、違反漁船は30日午後8時ごろ、日本の取締船に発見された。場所は与那国島の北方14カイリ(25・9キロ)の地点、適用水域からは8カイリ(14・8キロ)離れている。
 日本の取締船は、発見後に台湾漁船が台湾方面へ加速したため、漁船に危険が及ぶ可能性があると判断し追尾を中止。その後、日本は台湾側に逃走は遺憾とする旨を伝えたが、正式な回答はまだないという。
 交渉の結果、事実関係の調査は台湾側が実施した。台湾は適用水域内で操業する際は当局への申請を義務付けているが、同漁船は申請していなかった。
 漁業署の沙志一署長は琉球新報の取材に対し「2カ月禁漁というこれまでにない処分は、操業ルールを守るための私たちの決意だ」と述べた。
 一方、県漁業協同組合連合会の国吉真孝会長は「台湾に逃げ込めば問題ないと考えたと思うが、台湾政府自身が処分を下した。これを続ければ、もう違法操業はしなくなる」と台湾側の処分を評価した。(長嶺真輝、呉俐君)