宮古上布の発信拠点に 伝統工芸品センター落成


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 【宮古島】宮古島の伝統的工芸品で、国の重要無形文化財にも指定されている麻織物「宮古上布」の生産と島内外に情報発信する拠点となる、新しい「宮古島市伝統工芸品センター」が1日、落成した。同日の落成式には多くの関係者が出席し、宮古上布の振興発展へ決意を新たにした。

 伝統工芸品センターは、市平良にあった旧施設の老朽化に伴い、市が昨年7月から約2億8千万円かけて市上野野原に建設を進めていた。
 延べ床面積約千平方メートルで、施設内には工芸品の展示室や販売コーナー、織り子が上布を織る部屋などを旧施設よりも拡充した。また、屋外には宮古上布の原料となる芋麻畑も設けた。
 式典で下地敏彦市長は「宮古織物事業協同組合と連携し、本施設の活性化と宮古上布の振興発展に努めたい」とあいさつ。真栄城徳彦市議会議長は「宮古上布は宮古島のアイデンティティー。新センターが伝統工芸品の普及、発展に貢献してほしい」と期待した。
 指定管理を受ける宮古織物事業協同組合理事長の長濱政治副市長は「新しい伝統工芸センター完成を機に、素晴らしい織物の生産に向け組合員一丸となって頑張りたい」と決意を新たにした。
 宮古上布(十字絣(かすり))の2013年度生産量(同組合で検査したもの)は、前年度比8反減の6反。ベテランの織り手を中心に、十字絣と並行して別の物を織っていることなどが背景にあるといい、同組合では織り手に対し十字絣を織るよう呼び掛けている。

新しい宮古島市伝統工芸品センター内を見学する関係者ら=1日、宮古島市上野野原
完成した「宮古島市伝統工芸品センター」