自然活用し観光振興 沖縄公庫、世界遺産見据え提言


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本島北部地域(国頭、大宜味、東)と竹富町の人口推移

 沖縄振興開発金融公庫(譜久山當則理事長)は10日までに、「『奄美・琉球』世界自然遺産登録を活かした地域活性化策」をまとめた。環境省が登録を目指す同地域のうち、今回は本島北部地域(国頭村、大宜味村、東村)と西表島について調査した。両地域が人口減などの課題を抱える中、自然を活用した観光振興や広域連携の必要性などを提言している。5月中に公庫のホームページで公表し、6月には市町村などの関係機関に配布する。

 世界遺産の候補地は、本島北部と西表島のほか、奄美大島と徳之島の計4地域。沖縄公庫によると、最短で2016年夏ごろに登録の可否が決定する。
 地域活性化策は(1)入域人数制限など自然環境保全と観光振興のバランス確保(2)商品開発による消費額の拡大(3)地域ぐるみの意識高揚(4)イメージキャラクターなどプロモーション推進(5)市町村をまたがる広域連携―の5点を提言した。
 今回の調査では、本島北部と西表島の共通課題に人口の減少を挙げ、地域経済の縮小や雇用機会の不足につながる可能性を指摘している。
 30年の北部地域の人口は、1990年比で29・7%減の8098人、特に生産年齢人口(15~64歳)は40・6%減の3836人と大幅減を見通す。西表島を含む竹富町の生産年齢人口も、21・7%減の1572人となる見込みだ。
 一方、93年に国内で初めて世界自然遺産に登録された屋久島町は、13・6%減の1万1981人と県内両地域に比べ減少幅が小さい傾向が見られる。
 沖縄公庫の担当者は「世界遺産に登録されれば、沖縄は国内で唯一自然遺産と文化遺産がある県になる。今はマリンレジャーが主体だが、自然が沖縄観光の新たなスパイスになる」と述べた。
 調査は2013年末に開始し、奄美群島を管轄する日本政策投資銀行南九州支店(鹿児島市)と連携して実施した。