感染者4割 20~49歳 きょうから「はしかゼロ週間」


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 「はしか・風疹“0”(ゼロ)キャンペーン週間」が11日から始まる。子どもへのはしか・風疹(MR)ワクチンの早期接種を促すのが主な狙いだ。一方、大人も含め、はしかは全国的に流行しており、県内でも1人感染した。東南アジアなど海外で感染する患者が多いとされ、海外との往来も増えている県内にウイルスが入ってくる可能性も高まっている。県などは2回接種をしていない20代後半から50代前半の成人を中心にMRワクチンの接種を強く呼び掛けている。

 国立感染症研究所のまとめによると、1月から4月23日までの患者数は300人で、すでに2013年通年を上回った。はしかは感染力が非常に強く、感染すると1週間程度高熱が続き、全身に発疹が出る。肺炎や脳炎などの合併症を引き起こすこともある。県内では1998年から2001年にかけて、はしかの合併症による肺炎などで9人の乳幼児が死亡した。
 唯一の予防策はワクチン接種とされる。だが、1回だけでは年月を経ると免疫力が低下するため、06年から市町村は1歳と小学校入学前の2回接種を実施している。06年度に82・6%だった県内接種率(1歳児)は、12年度に94%となった。接種目標の95%は下回っているものの、年々向上している。
 一方、感染リスクが高いのはワクチン接種を2回していない、または感染による自然免疫を得ていない世代で、ことしの感染者の約4割を20~49歳が占める。「県はしかゼロプロジェクト委員会」の具志一男副委員長は「(同世代は)発熱などをしても無理して仕事に行くことも多い。そこでウイルスをまく可能性もある」と指摘する。
 ワクチン定期接種前の0歳児が全国の感染者の約1割を占める現状もある。具志氏は「成人は重症化しやすい。接種することは子どもを守ることにもなる」と、対象者への注意を促した。(大嶺雅俊)