信号、横断歩道…見えません 街路樹遮り、白線消え


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 県内には、茂った街路樹に隠れて見えにくい信号や標識、白線が消えかけた横断歩道などが点在している。歩行者が赤信号と分からず渡ったり、車が横断歩道に気付かず進入したりする可能性や重大な事故につながる危険がある。標識、横断歩道、道路標示は運転手や歩行者にとって安全を確保するために重要なもの。観光立県沖縄にとって早急な対応が必要となっている。

 「横断歩道があるなんて最初は気付かなかった。ここで車が止まることはあまりない」。1年ほど前に那覇市おもろまちに引っ越した女性は指摘する。横断歩道の白線がほぼ消えかかっているのは、おもろまち2丁目、ホテル裏の交差点。信号もないため、スピードを緩めずに走り抜ける車が多い。
 同市の新都心公園交差点では、街路樹が歩行者用信号に覆いかぶさり、「赤か青か」と戸惑う人の姿が見られる。沖縄市のコザ・ゲート通りに設置された道路標識も、歩道の伸びた街路樹の枝で全く見えない状態だ。
 観光客が多く訪れる名護市や本部町などでも、横断歩道や停止線が消えたままの場所が見られる。
 信号機や標識の整備には「交通安全施設整備事業費」の予算が充てられ、沖縄県では2013年度に計約11億円が計上された。県警によると、信号や停止線、標識などの整備状態は所轄の各警察署がパトロールなどの際に確認している。県警が設置・管理している場合、危険性が高いと判断すれば県警本部に要請し、認可が下りた後に補修・整備を行う。
 ただし、市や県など自治体が道路管理者として整備した横断歩道などは別だ。街路樹などは自治体の財産扱いになるため、各市町村の自治体が把握し整備する必要がある。
 おもろまち2丁目の横断歩道を管轄する那覇市道路管理課は「定期的に見回っているが、量が多く見過ごすこともある。1カ所だけをすぐに対応することができず、年に2回ほどまとめて業者に発注する」と説明する。
 沖縄市の街路樹を管轄する中部土木事務所は「巡回をして対応しているが、範囲は広い。現場を確認して、状況を判断した後、その都度対応していく」と話す。
 名護市宮里4丁目北交差点の横断歩道は本年度中に補修予定という。「地域住民や自治体、警察が一体となった取り組みが必要だ」と県警交通規制課は話している。(阪口彩子)

街路樹が覆いかぶさり見えにくくなった信号機=9日、那覇市新都心公園交差点
白線が消えて見えなくなった横断歩道=4月30日、那覇市おもろまち2丁目
街路樹で遮られ見えにくいコザ・ゲート通りの案内表示板=4月22日、沖縄市