琉球政府文書を電子化 「沖縄に恩返しを」福島の移住者携わる


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琉球政府文書のデジタル化事業に携わる(左から)鈴木博貴さん、上野麻美さん、鈴木静香さん=南風原町の県公文書館

 東日本大震災後に福島県から沖縄に移住した鈴木博貴さん(44)、静香さん(39)夫妻と上野麻美さん(33)が、琉球政府文書をデジタル化し、公開する県の事業に携わっている。博貴さんは「沖縄の意義ある仕事に関わることができ、やりがいを感じている」と話している。

 鈴木さん夫妻は震災と福島第1原発事故から約1年後の2012年3月に福島県郡山市から、上野さんは同年末に同じくいわき市から、それぞれ3人の子どもと引っ越した。「心配せずに外で過ごせる環境に行きたかった」(静香さん)、「放射線量も高く、安全に暮らせる所に住みたかった」(上野さん)という。
 地縁血縁のない沖縄で苦労は多いが、静香さんは「子どもの高校入学に必要な保証人を近所のおばあちゃんが引き受けてくれた。学校や部活動の送迎でも周囲が協力してくれる」と感謝する。
 3人は避難者向けの国の緊急雇用事業を活用して那覇市の民間企業に就職したことが縁で、琉球政府文書の事業を担当している。
 上野さんは「同郷や沖縄の人たちに助けられ、楽しく過ごせている。沖縄の歴史に関わる仕事で、少しでも恩返しができたらうれしい」と笑顔で語った。