声楽グループ・ソーニョ オペラの名曲豊かに


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 声楽グループ・ソーニョ(翁長剛主宰)の「オペラティックコンサート2014」が10日、浦添市てだこホールであった。11人の声楽家がオペラの名曲に、それぞれ個性の異なる歌声を乗せた。二重唱や四重唱もあるなど、バリエーションに富んだコンサートに、聴衆は拍手や「ブラボー」と賞賛の声を送った。ピアノは平良浩子。

 コンサートは金城成子(ソプラノ)のベッリーニ「夢遊病の女」から「ああ信じられない~この喜びに」で幕開け。前半は高音を響かせる。後半からクライマックスにかけ、ピアノの旋律に合わせ、力強い歌声で喜びを表現。一気に観客をオペラの世界に引き込む。続く饒平名玲花(同)はプッチーニ「トゥーランドット」から「氷のような姫君の心も」をしっとりと歌いきる。久高将玄(テノール)はフロトー「マルタ」から「夢のごとく」を情熱的に歌い上げた。
 川満理加(ソプラノ)は透き通る歌声を、伊良波良真(バリトン)は堂々と奥行きのある声を会場中に響かせる。佐久田藤子(ソプラノ)も祈りの曲にふさわしく、神聖さを感じさせた。
 桑江律子(同)が抑揚をつけ、楽しげに歌えば、安座間和美(同)は悲哀を表現する曲を、物悲しげに歌う。長谷川萌子(同)は舞い踊りながら、体の芯まで響くような歌声を披露し、第1部を盛大に締めくくった。
 第2部は金城、久高、伊良波、渡久地利江子(メゾソプラノ)によるヴェルディ「リゴレット」から「四重唱」で始まった。それぞれ性格の異なる男女を情感たっぷりに演じ分けた。佐久田、松川好伸(テノール)のヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」の「アメーリアとガブリエレの二重唱」では、2人の小気味よい掛け合いとともに、愛の深さを表現した。
 フィナーレは川満、長谷川、松川、伊良波による四重唱。別れの場面、対照的に真実の愛を確かめ合う場面と、2組の男女が同じ舞台で、その対比を体現する。表現力の高さに観客は息をのんだ。
 全曲を終えると、主宰の翁長が指揮し、「オー・ソレ・ミオ」を11人で熱唱。観客の拍手は鳴りやまなかった。(大城徹郎)

掛け合いのような二重唱も観客を楽しませる=10日、浦添市てだこホール
表現力の高い演技も観客を引き込んだ四重唱=10日、浦添市てだこホール