困難から逃げないで がん闘病中の教諭がビデオ授業


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がん闘病中の喜友名秀美教諭のビデオメッセージによる授業を受ける宜野湾高校の生徒=9日、同校体育館

 「私は今、絶対負けられない試合を闘っている。みんなも強い相手に出会っても逃げないで」。宜野湾高校の生徒約200人を前にスクリーンに映る1人の女性が語り掛けた。

4月から同校に赴任予定だった喜友名秀美教諭(35)だ。喜友名さんは現在、脳腫瘍の治療のため休職している。がんと闘う自身の姿を生徒に知ってもらうことで、困難に立ち向かう力の大切さを伝えたいと9日、ビデオメッセージ形式の特別授業を開いた。
 特別授業は放課後、体育館で部活生約200人を対象に開かれた。前任校で喜友名教諭と同僚だった宜野湾高教諭の照屋拓己さんと共同で企画した。
 喜友名さんは「野球部は試合相手が自分たちより強い時、どう攻略するかを考える。相手の戦力や戦術、そして自分の特徴を分析する。病気の治療もそうだ」と述べ、病気と向き合う姿勢を紹介した。その上で「私自身も部活をやっていたからこそ、逃げられないここ一番の闘いは『任しとけ』と意気込みを持つ強さを持てた。皆さんも今後、いろいろな困難があると思う。高校生のころ、病気だけどこんな元気な先生がいたと知っているだけで力になり、闘えると思う」と語り掛けた。
 喜友名さんは、育児休業中の昨年10月に脳腫瘍が見つかった。握りこぶし大の腫瘍を摘出する手術を受けた。現在は入院しながら、抗がん剤治療を続けている。ビデオでは手術跡が残り、放射線治療の影響で頭髪も短くなった頭もかつらを外して見せた。
 授業を受けた同校3年の長谷川龍くんは、喜友名さんが時折り笑顔を交え、はきはきと話していた姿に触れ「自分が同じ立場だったらあんなに元気に話せない。もっと強い人間になりたいと思った」と語った。同じく3年の桃原佑佳さんは「自分は何事も途中で投げ出し、勉強も自分に負けてしまうことがあった。これからは目標を決め、自分に負けないように達成していきたいと思った」と話した。