悲劇繰り返さないで ダバオの塔慰霊祭


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ダバオの塔で行われた慰霊祭で、亡き家族の冥福を祈り焼香する遺族たち=15日、糸満市摩文仁

 【糸満】糸満市摩文仁の平和祈念公園内にあるダバオの塔で15日、慰霊祭(県ダバオ会主催)が開かれた。遺族ら約150人が参加し、太平洋戦争時にフィリピン・ミンダナオ島ダバオで亡くなった県出身者の冥福を祈った。

 戦前、ダバオには県出身移民者が多く在住しており、太平洋戦争で戦闘に巻き込まれ、多くの住民が犠牲になった。式典で、県ダバオ会の山入端嘉弘会長は「大戦からことしで69年になるが、戦争の記憶は脳裏に刻まれ忘れることはできない」とあいさつした。
 姉妹3人で参列した石原幸子さん(73)=宜野湾市=は、米軍の攻撃を避け、家族で山に避難した際に栄養不足で弟を失った。幸子さん一家は終戦を知らず、8月15日以降も山を逃げ回った。戦後、引き揚げ船で長崎県の佐世保に到着したが、戦火を生き延びた10歳と8歳の兄は寒さで肺炎になり死亡した。
 幸子さんは、「戦争が起これば真っ先に犠牲になるのは体力のない子どもたち。二度と悲惨な戦争は繰り返してはいけない」と願った。
 県ダバオ会は、ダバオ市内で開催される慰霊祭に参加するため、7月20日から26日まで現地を訪問する。
英文へ→Davao statue memorial service held for the Okinawan war dead in Philippines