新ハーリー舟36年ぶり 浜に祝いの歌、太鼓 糸満市名城


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 【糸満】糸満市名城区はこのほど、ハーリー舟3隻を新造し、11日に進水式を行った。糸満海人工房・資料館で安全祈願を終えた後、市西崎町の新糸満造船近くの港から、北名城ビーチまで3隻を走らせた。

浜辺では区老人クラブの女性らがチヂンと呼ばれる太鼓を打ち鳴らし、祝いの歌を歌って舟を迎えた。
 名城区がハーリー舟を新造するのは36年ぶり。市の一括交付金を活用し、舟大工の大城清さん(64)=糸満市=と弟子の高良和昭さん(41)=同=が造船した。
 進水式では、区民の新垣喜広さん(71)らが舟の前に果物や酒を供え、無事故を祈った。伊敷幸栄区長は「新しい舟は市民の財産だ。区民で大切に使い、歴史あるハーレー行事を子や孫の代まで伝えていこう」とあいさつした。
 安全祈願後、後(クシ)ンティー、中(ナカ)ンティー、前(メー)ンティーに分かれた3隻の舟は、南風が強く吹く中、勢いよく海に飛び出し、区民の待つ北名城ビーチを目指した。
 途中、中ンティーの舟に海水が入り、2回転覆したが、ハーリーシンカ(こぎ手)は負けじと懸命にウェーク(櫂(かい))をこぎ、3隻とも無事に浜に到着した。
 潮にぬれ、少し疲れた表情を見せていた新垣康さん(41)は「こんなに長い距離をこいだのは初めて。いい経験になった。舟を大切にして、次の世代まで引き継ぎたい」と話した。

浜に到着し、安堵(あんど)の表情を見せる名城区のハーリーシンカたち=11日、糸満市の北名城ビーチ
浜に向かって舟をこぐ名城区のハーリーシンカたち=11日、糸満市の北名城ビーチ
チヂンを打ち鳴らし、舟を迎える名城区の女性たち=11日、糸満市の北名城ビーチ