県内児童養護施設出身者、大学・短大進学11%


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 県内の児童養護施設出身者の過去5年にわたる大学・短大への進学率は平均11・2%にとどまり、県全体の平均37%を26ポイント下回ることが、琉球新報の調べで17日までに分かった。3月、県内にある全8児童養護施設を対象にアンケートした。

施設出身者の進学率が低い理由について、7施設が学費準備の難しさを挙げた。親の支援が得にくい境遇の中で、経済的な問題が進学の機会を阻んでいる実態が浮き彫りになった。
 調査は、県内全8児童養護施設に対して、2009年3月から13年3月までの5年間にわたる中学・高校卒業後の進路状況を聞いた。さらに施設から退所する時の課題、自立に向けた必要な支援などを尋ね、全施設から回答を得た。
 5年間で高校卒業に伴い107人が施設から退所し、このうち23人が進学した。進学者の内訳は短大・大学12人、専門学校11人。グループホーム入所などその他は7人だった。就職者は77人だった。
 専門学校への進学は10・2%で、県平均25・7%を15・5ポイント下回った。一方、就職は72・0%で県平均(14・4%)を大きく上回った。学費が準備できずに、最初から進学を諦めた人は4人、中途退学は2人いた。
 学費の調達方法を複数回答で聞いたところ、「NPOにじのはしファンドの奨学金」(6施設)、大学の減免制度(5施設)や日本学生支援機構(5施設)など奨学金の活用が多かった。4施設は「卒園者本人がアルバイトをして準備」と答えた。(高江洲洋子)

<用語>児童養護施設
 保護者のいない児童や、親の病気や虐待、生活困窮などさまざまな事情から保護者に養育させることが難しい児童を受け入れて養育する入所施設。生活指導や学習指導を通して、児童の心身の健やかな成長と自立を支援する。児童福祉法では高校卒業後の原則18歳で、施設を退所しなければならない。