ウミガメ無惨 泡瀬干潟に死骸、魚網絡む


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泡瀬干潟で発見されたアオウミガメの死体。漁網が絡まった右前足足先の腐敗が進んでいた=5日、沖縄市の県総合運動公園

 【沖縄】沖縄市の県総合運動公園に面する海岸で5日、アオウミガメの死骸が打ち上げられているのが見つかった。死因は分かっていないが、右前足に漁網が絡まっていた。本部町の沖縄美ら海財団総合研究センター研究第一課河津勲さんは「年間50~60例の死体漂着があり、その8割が漁具が絡んでいる状態だ」と説明し、ウミガメの保護と漁業振興の両立のため、国内での対策の必要性を指摘している。

 見つかったアオウミガメは甲羅の長さ約80センチで平均的な成体。甲羅ははがれて欠けている部分があり、死後数日が経過しているとみられる。
 アオウミガメを含むウミガメはワシントン条約で絶滅危惧種に指定されている。県が発行する「絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)―動物編―」でも「沿岸漁業とウミガメ類保全対策の合理的な共存が望まれる」「混獲による溺死を防止する漁業技術の開発は急務」としている。
 河津さんによると、米国では漁網に掛かったウミガメが逃げられる網や、発光ダイオード(LED)ライトで混獲を防ぐ漁網などが開発段階にある。一方、県水産課によると、現在国内でウミガメの混獲を防ぐ器具の開発はなされていない。県内でも同様の取り組みはないという。
 河津さんは日本ウミガメ協議会の保護の成果や米国で網を使った漁業規制が進んでいることから、ウミガメの個体数は増えていることを指摘。「沖縄での死体漂着も増えている。混獲は漁業関係者にも漁網が破られるなどの損失がある」と話し、対策の必要性を指摘した。