劇団伊良波「思案矼」 「母の日」沖縄芝居公演


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真三郎(佐辺良和・右から2人目)の死を悲しむ父(平良進・右端)や真加戸(小嶺和佳子・左端)ら=11日、パレット市民劇場

 劇団伊良波は那覇市のパレット市民劇場で、時代人情歌劇「思案矼(しあんばし)」(伊良波尹吉作、伊良波冴子演出)などを上演した。「渡てぃ悔やむなよ くりや思案矼…」のつらねと歌が効果的に使われ、人情歌劇の王道を行くような作品。気鋭の若手をベテランが支え、期待を裏切らなかった。

 粗筋は、真三郎(佐辺良和)が父(平良進)や妻真加戸(小嶺和佳子)、子(神谷心乃香)を捨て、遊女チルー(知花小百合)と駆け落ちする。チルーと別れた真三郎は子どもらと再会。真三郎は父と復縁するよう諭されるが、これまでの行いを悔やみ命を絶つ。
 遊郭に渡る思案矼が重要な場面の舞台となる。境界を越える橋は、後戻りできない人生のはかなさを象徴するようだった。喜歌劇「貞女小」(島袋光裕作)も上演した。