虐待の連鎖断とう 黒川さん、北農高で講演


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 【名護】「高校生のための文化講演会」(主催・琉球新報社、一ツ橋文芸教育振興会)が20日、名護市の県立北部農林高校(中石直木校長)で開かれた。フリーライターの黒川祥子さんが「大人になるってつらいこと?」を演題に講演した。

親などから虐待を受けた子どもらは希望を持てずに将来を否定している事例を紹介し、「信頼できる大人や友人らに悩みを聞いてもらい支援を受けることで生まれ変わることもできる。虐待の連鎖を断ち切ろう」と訴えた。
 黒川さんは「子どもにとって最良のことは何かを、親は考える責務がある」とした一方で、「愛着をもらわずに育った子どもは自身も同じことを繰り返す」と取材を通して感じた虐待の連鎖の危険性を主張した。黒川さんは「他者の痛みを感じる人になってほしい。個々が想像力を働かせれば社会は変わる」と語った。
 仲宗根葵さん(食品科学科3年)は「これまで以上に周囲へ耳を傾けたいと思った」と感想を述べた。
 講演終了後、一ツ橋文芸教育振興会が「集英社文庫」100冊と第11回開高健ノンフィクション賞の黒川さんの著書「誕生日を知らない女の子」を寄贈した。21日は県立南部商業高校で講演会を行う。

虐待をテーマにした文化講演に熱心に聞き入る生徒ら=20日、名護市の県立北部農林高校
黒川 祥子さん