県産黒糖が高騰 台風、干ばつ続き供給減


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沖縄県産黒糖の東京、大阪平均価格

 黒糖の競争入札価格が高騰している。4月の東京と大阪の平均市場価格は、過去10年で最高の1キロ当たり354・5円を記録。製糖工場関係者によると、取引全体の8割を占める問屋との直接取引価格も、昨期に比べ約10円値上がりしている。

自然災害でサトウキビ生産量が減少していることに加え、2013年に完全施行された産地表示の義務化による県産黒糖の需要増加も背景にあるようだ。
 県黒砂糖工業会(西村憲会長)によると、13~14年産の黒糖生産量は前期比6・5%減の7130トン。黒糖市場における適正な供給ラインとされる8千トンを3年連続で下回った。市場の品薄感から加工業者が買い付けに奔走し、相場が上昇している。
 原料となるサトウキビ生産量が、近年相次ぐ台風や干ばつで低水準で推移していることが影響している。13~14年産の黒糖用に振り分けられるキビ生産量(県黒砂糖工業会調べ)は、過去10年の平均より5・6%低い5万1717トンの見込みだ。
 関係者は原料産地などの表示義務化も影響していると見る。11年に加工食品品質表示基準が改正され、13年4月に完全施行した。工業会担当者は「外国産を表示すれば、需要が落ちる可能性がある」と県産需要の高まりを説明する。
 県産黒糖商品を取り扱う県内黒糖加工メーカーからは「販売価格を上げるものもあるが、全商品に価格転嫁はできない」「数量が少ないため、原料を確保するため早めの発注を心掛けている」などの声が上がっている。