泊魚市場の糸満移転 事業利益8.8%増 県、期待値含め予測


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 泊魚市場(那覇市)の糸満市への移転を計画する県は23日までに、移転後の県漁業協同組合連合会の事業収支予測をまとめた。県外船の増加など「期待値」を含めた移転初年度の事業収益は、過去5年(2007~11年度)の平均値と比べ0・8%減の18億5957万円、事業利益は8・8%増の5269万円を見込む。

依然、移転に慎重論もある中、県は予測を基に県内関係者と調整を進める。14年度中に基本設計に着手し、17年度の移転完了を目標に掲げている。
 期待値には県外船の増加による購買、製氷事業の増収、泊漁港の冷蔵庫からの保管収入を加味した。これらに加え、仕切りを作るなど高い衛生基準の市場整備による魚価の向上、行政による補助の確保などで「収益はさらに向上する」と見通している。
 一方、期待値を含まず「最大限の負担と最小限の収入」で算出した場合の事業収益は5・7%減の17億6921万円、事業利益は12・3%減の4248万円だった。施設建設に伴う減価償却費などが影響した。
 予測の前提条件には(1)給油、製氷、購買施設を補助事業の活用で新設(2)糸満漁協と共同で市場運営した場合の漁連の手数料収入配分は61%(3)市場を通さず県外出荷されているマグロの一部を市場に上場(4)購買事務所は泊と糸満市の2カ所で展開する-など全8項目を設定した。
 県は14年度、設計費用として約1700万円を計上している。設計に1年、建設に2年を見込む。
 当初の移転計画は00年に策定された。輸送コスト増加や移転後の泊の再開発への懸念など慎重論も依然ある。しかし3月の県議会一般質問で県の山城毅農林水産部長は「県漁連の理事会も前向きに検討している。関係団体に移転への機運が高まっている」と話した。(長嶺真輝)