海外展開企業の現状と課題 沖縄総合事務局まとめ


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 沖縄総合事務局(河合正保局長)は26日までに、海外展開している県内企業からの聞き取りに基づく現状と課題をまとめた。

企業からは、企業単独ではなく行政がチームとして海外各国に売り込む必要性などの指摘が上がった。那覇空港を拠点(ハブ)とする全日本空輸(ANA)の国際航空貨物事業が好評で活用事例も多かった。その上で船便への補助を求める要望も相次いだ。牛肉輸出では、海外輸出が認められる食肉処理場の県内整備を求める声も上がった。
 支援機関にも聞き取りしており、企業側の自主性とスピード感、海外での商標登録の取り組みなどが課題に挙がった。
 既に海外展開している県内企業のうち13社から聞き取りした。各社ごとに(1)展開先と売り上げ状況(2)展開のきっかけ(3)市場調査(4)現地の法律・規制への対応(5)運送コスト(6)通信販売の活用状況(7)海外展開でのメリットや苦労―などについてまとめた。
 海外展開の状況について企業側からは「香港やシンガポールでは日本の産地間競争となっている。沖縄の知名度が浸透していない」「ANAハブ事業で県の補助があり、航空運賃はゼロ円」などの現状報告があった。
 課題については「中城湾港に定期船がなく那覇港に陸送しなければならずコストが掛かる」「牛肉を輸出するには相手国の認可すると畜場が必要だが、県内にはなく本土で処理する必要がある。2年前、県に要請したが、予算上対応できないと回答があった」などの指摘があった。
 海外ネットワークの構築については、代表者が独自で培った人脈を活用したり、現地県人会の協力を得たり、日本貿易振興機構(ジェトロ)などの機関の支援を受けたり、各社さまざまに工夫を凝らしている。海外企業の与信情報を求める企業も複数あった。
 総合事務局の河合局長は調査結果を受けて「アジアや東南アジアといっても、国々に独自の制度や規制がある。情報を把握していくことが重要。日本国内を相手に商売する知見以外の対応が求められる。まさにこれから展開しようという企業に、今回のまとめを今後の海外展開の一助にしてもらいたい」と話した。