優雅なひとときへ招待 金管五重奏の魅力


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金管楽器の華やかな音色が平日の昼下がりを彩った「金管五重奏の魅力」=21日、那覇市のパレット市民劇場

 琉球フィルハーモニックプレゼンツアフタヌーンコンサート「金管五重奏の魅力」が21日、那覇市のパレット市民劇場であった。コンサートとしては異例となる平日昼の開催。五つの金管楽器のハーモニーが心地よい空間を演出した。

演奏の合間には金管楽器の特徴を説明。初めて訪れる観客にも楽しみ方を伝える配慮も忘れない“入門編”のコンサートで、金管楽器、音楽の魅力を分かち合った。
 田中孝子(トランペット)依田泰幸(同)比嘉菜々子(フレンチホルン)又吉智教(トロンボーン)稲嶺哲也(チューバ)が出演。コンサートはシュランメル「ウィーンはいつもウィーン」で幕開け。小気味よいリズムで奏でながら、一人ずつ舞台に登場する。
 「幅広い層にコンサートの良さを知ってもらいたい」との思いから、平日昼に開催時間を設定。琉球フィルハーモニック代表理事の上原正弘がナビゲーターを務めた。
 「縁の下の力持ちのチューバ」「世界一難しい楽器とされるホルン」といった金管楽器の特徴、奥深さを分かりやすく解説する。「演奏家が上演中、床に足をこすらせる動作は、演奏したソリストへの賛辞を表している」と演奏家の動作の意味を説明した。
 続いて演奏されたのは高橋宏樹「ズーラシアン序曲」。序盤は疾走感あふれるテンポから始まり、中盤は一転して静かなメロディーに。終盤で再び、早いテンポに切り替わる、目まぐるしい展開が特徴的な一曲。トランペットなどに合わせ、チューバの低音も演奏に厚みを持たせる。
 「カンツォーン・ベルガマスク」では、トランペット、フレンチホルンと一つ一つの楽器の音色が徐々に重なる輪唱が印象的な楽曲。
 後半は映画音楽を中心に構成。「マイフェアレディより“踊り明かそう”」「サウンドオブミュージック」といった有名な映画からの楽曲を演奏し、映画の世界に引き込んだ。アンコールでは、「ウエスト・サイド物語」から楽しげな楽曲の「トゥナイト」を演奏した。5人という小編成ながらも、金管楽器が紡ぎ出すアンサンブルが、昼下がりに優雅なひとときをつくり出した。(大城徹郎)