琉大病院、西普天間に移転へ 重粒子施設と連動


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
西普天間住宅地区の土地利用計画(修正案)

 西原町にある琉球大学医学部付属病院と琉大医学部が、2015年3月に返還が予定される米軍キャンプ瑞慶覧・西普天間住宅地区(宜野湾市、51ヘクタール)の跡地へ移転する方向で県や宜野湾市と調整していることが27日、分かった。

宜野湾市は同日開催した地権者説明会で、西普天間跡地へ琉大病院の移転を視野に入れていることを説明した。琉大病院の関係者や佐喜真淳宜野湾市長は29日、仲井真弘多知事と面談し、移転に向けた構想を確認する予定だ。
 仲井真知事と佐喜真市長は4月28日、菅義偉官房長官に対し、がんを放射線で治療する重粒子線治療施設の設置を念頭に、西普天間跡地で「国際医療拠点」を形成するための財政支援を要請した。市はこれらを踏まえ、跡地利用計画の修正案で「国際医療拠点ゾーン」を設置した。琉大病院の移転に伴い、治療や人材育成を含め、重粒子線治療施設と連動し地域医療の充実を図ることになりそうだ。
 同跡地ではこのほか、「米軍の医療技術を活用し振興を図りたい」とする佐喜真市長の意向を受け、政府が新薬の研究開発拠点を同跡地へ創設することも検討している。
 県などによると、移転費用は900億円規模の見込み。予算をどのように確保するのか今後、調整を進める予定。西普天間跡地の地権者全体の理解を得ることができるか、まだ不透明だ。
 国吉幸男琉大病院長は「まだ構想段階だ。何も言えない。あさっての面談で、いろんなことが明らかになると思う」と述べるにとどめた。琉大の大城肇学長も否定しなかった。
 琉大病院は13日、現在地への移転時に村有地(当時)を提供した西原町の上間明町長に対し「現在の場所では狭いので、西普天間へ移転したい」と理解を求めたが、上間町長は難色を示した。