認知症高齢者 事前登録で徘徊早期発見へ 久米島町


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
認知症高齢者を見守る久米島町のSOSネットワークのイメージ

 認知症で徘徊(はいかい)するなどして行方不明になる人が全国で多く確認され、各地で対応策が練られている。県内では久米島町が島を挙げて行方不明者の早期発見につなげる「SOSネットワーク」を県内で初めて構築している。

ネットワークには、警察や医療機関、福祉関連事業など約30団体が加入。認知症で徘徊する恐れがあるとして、家族の同意を得て事前に登録した高齢者が行方不明になると、関係団体で情報を共有して早期発見につなげる仕組みだ。
 ネットワークを活用して行方不明者を保護した事例はまだないが、3月末時点で13人が登録している。
 町は認知症を患い、1人暮らしが困難となる高齢者の割合が県内市町村の平均と比べて高い傾向にある。過去には認知症の高齢者が徘徊し、畑で発見されたり、死亡した状態で見つかったりしたという。
 町は2010年度から「町認知症施策総合推進事業」を実施し、認知症の高齢者を地域全体で見守る施策を展開している。ネットワーク構築は同事業の一環で11年度から始まった。登録した高齢者が行方不明になると、加入団体で名前や顔写真、服装などの情報が共有され、早期発見につなげる。町役場で保健師を務める吉永浩さんは「一人でも多くの高齢者が島で最後まで暮らせるように施策を進めたい」と意気込んだ。
(梅田正覚)