がんの痛み 色で表現 岸本さん、治療越え絵画展


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多彩な色で痛みを表現する岸本聡子さん=22日、与那原町上与那原のコミュニティカフェよなくる

 【与那原】小児がんの先天性小児脳腫瘍がある岸本聡子さん(31)=西原町=の絵画展「OUT PUT展vol.3―心に秘めた想いを発進―」が、与那原町のコミュニティカフェよなくるで開かれている。

手術の後遺症による強い痛みを、独特の鮮やかな色遣いで表現した8枚が展示されている。6月1日まで。
 岸本さんは名護市出身。斜視などから先天性小児脳腫瘍だと診断され、9歳の時に摘出手術を受けたが、腫瘍が視神経に近かったために摘出できなかった。家族や周囲の人に、泣きわめくことでしか自分の痛みを伝えられず、学校も休みがちに。看護の道を志し、ヘルパーや准看護師の資格を取得し病院で勤務したが、体調の悪化で退職を余儀なくされた。
 もともと工作やものづくりが好きで、身近な紙や箱などでさまざまな作品を作っていたが、高校卒業後は制作から遠ざかっていた。カウンセリングで勧められたことを機に、29歳で絵画や造形作品の制作を再開。骨格調整による治療に出合い、痛みが大きく緩和された経験から、自分の人生を色に例え、痛みに耐えたつらい過去を黒や青など暗い色、痛みが緩和した様子を黄色や赤など明るい色で表現した。
 「痛みから解放され、できることが増えた。生まれ変わったような感覚」と経験を振り返る岸本さん。「自分の経験を知ってもらうことで、社会参加しやすい環境をつくる輪が広がれば」と話し、今後は障がい者の就労支援や、訪問展示会の開催などに取り組む。6月9日から8月末まで、名護市議会回廊ギャラリーで「OUT PUT展vol.4」を開催する。7月には個展を開く予定。問い合わせはよなくる(電話)098(917)0909。金曜日は定休日。