デイゴヒメコバチ防除薬費50%減 県森林資源研が開発


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薬剤の樹幹注入で開花が確認されたデイゴ=名護市の21世紀の森公園(県森林資源研究センター提供)

 県森林資源研究センターは、デイゴを枯死させる病害虫デイゴヒメコバチの防除事業で、薬剤費を低減化する技術を開発した。従来の基準施用量の半分の薬量でも、ヒメコバチの発生を抑制でき、同等の殺虫効果が得られる。新技術の導入で、防除事業費の約50%低減が見込めるという。

 県の防除事業では、飛散の影響がなく、効果が1年続く樹幹注入剤を使い、ヒメコバチがデイゴに寄生するのを防ぐ。高さ5メートルのデイゴの木に必要な薬剤は、約10本で約3万円の費用がかかる。
 県は2010年からヒメコバチの緊急防除事業を開始。急速に被害が拡大したため、薬剤の開発・普及が急がれていた。樹幹注入剤は高い評価を得たが、高コストで普及率が低く、被害に遭ったデイゴ全てを防除できなかった。
 県森林資源研究センターは、コストが低減できる防除法を、11年から3年間にわたって研究を進めていた。
 デイゴヒメコバチは、国内で初めて05年に石垣島で確認。その後、1年で県内ほぼ全域に被害が拡大し、デイゴの開花が見られなくなった。
 県森林資源研究センターは06年から殺虫効果試験を実施。08年に樹幹注入剤と散布剤の適用が拡大され、一般使用が可能となった。05年以降開花が見られなかった八重山地域では12年に6年ぶりの開花が確認された。
 27日、同センターの喜友名朝次氏が県庁で研究成果を発表。「本技術を活用することで、より多くのデイゴを保護できるようになる」と話した。