きょう「写真の日」 “鳥の目”で沖縄撮る 航空写真家の寺下さん


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ヘリの前でカメラを構える航空写真家の寺下昌信さん=5月26日、那覇空港(田盛良一撮影)

 6月1日は「写真の日」。空撮を専門とする航空写真家の寺下昌信さん(61)=うるま市=は20代のころに沖縄の青い海に魅せられ、勤めていた撮影会社を辞めて23年前に移り住んだ。「県民も知らない自然風景がある。感動してもらえる写真を撮りたい」と、“鳥の目”で見た沖縄の素晴らしさを発信し続けている。

 長崎県出身。22歳で東京に本社を置く撮影会社に就職し、航空写真を撮り始めた。その後、沖縄に活動の拠点を移し、現在までの40年間で、空撮の飛行時間は約4千時間に達する。
 海や山などの自然風景のほか、自治体の要覧などに使う航空写真などを手掛ける。学校関係では県内の130校余りで、校庭での人文字を空から撮影した。
 航空撮影は天候に大きく左右される。全国的に沖縄は快晴が少なく、晴れた日でも視界がかすんでいれば飛行を断念する日もある。「晴れ渡り視程が30キロある日は数少ない最高の撮影日。今でもわくわくする」と笑う。特に梅雨明けの海の色は一番鮮やかで「毎年待ち遠しい季節」だ。その一方、撮影に好条件な日でも「米軍の管制区域に自由に立ち入れず、悔しい思いをすることもある」と明かす。
 長年空から沖縄を見続けてきたからこそ感じる変化もある。開発が進み、各地で赤土の汚れが目立つ場所が増えた。「宮古や八重山は今も美しいが、本島にはシャッターを切る雰囲気がなくなってしまった海もある」
 10年ほど前、石垣島で空撮中に浅瀬でたわむれる牛の群れに遭遇し、壮大な自然に圧倒させられた瞬間が忘れられない。「これからも沖縄にしかない風景を残していきたい」と語った。(当山幸都)