開店40年三線作り一筋 糸満市の金城武一さん


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 【糸満】金城武一さん(66)が営む「金城三線店」(糸満市西崎)が、5月に開店40周年を迎えた。金城さんは、三線製作の全工程を1人でこなす三線職人だ。「現状に満足せず、これからも技術を学び続けたい」と話し、三線製作にますます情熱を燃やしている。

 金城さんが23歳のころ、友人に誘われて三線店でアルバイトをしたのが職人になったきっかけだ。三線作りの魅力を知り、約3年間修業した。「昔の職人は口では教えなかった。先輩の技術を目で見て、耳で聞いて覚えたんだよ」と振り返る。
 26歳で独立し、1974年に市糸満に店を構えた。開店当初はお金がなく、材料の仕入れができなかったため、タクシー運転手として働きながら、三線の皮の張り替えをして資金をためた。丁寧な仕事と温厚な人柄が評判を呼び、常連客が増えていった。
 常連客の玉城利和さん(65)=豊見城市=は「金城さんは商売抜きに考えてくれるし、仕事も丁寧。30年来の付き合いになる」と信頼を寄せる。
 金城さんは「三線作りが大好きだからね。40年店をやっているけど、大変だと思ったことは一度もない。友人には『好きなことを仕事にできていいな』とうらやましがられている」とほほ笑む。
 ことし3月には、職人の技術力を競う「三線打ティーワジャコンテスト」(県立博物館・美術館主催)で、県三線製作事業協同組合理事長賞を受けた。「賞をもらえたことはうれしいが、一生満足することはないと思う。日々学びながら、納得のいく、良い三線を作っていきたい」と金城さん。穏やかな口調の中にも、職人の情熱と誇りがにじむ。

自作の三線を手にする金城武一さんと妻のちえみさん=5月26日、糸満市西崎の「金城三線店」
創業当時の「金城三線店」で三線を製作する金城武一さん。クーラーがなく、湿気との闘いだったという=1978年ごろ、糸満市糸満