介護休取得1.4% 沖縄、全国の半分以下


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介護休業給付金受給者数の推移

 介護と仕事の両立のため制定され、1999年から義務化された介護休業制度。県内の介護休業取得率(推計)は1・4%と、全国平均3・2%の半分にも満たないことが、2012年総務省就業構造基本調査(調査日12年10月1日)の試算から分かった。

沖縄労働局によると、県内の介護休業給付金の取得者数は10年間で約3倍となっており、介護休業取得者は年々増加しているが、全国と比べると増加率が抑制傾向にあることが浮かぶ。労働局は「小規模零細企業が多いため」と推測しているほか、関係者は「収入が減るため休業に踏み切れない労働者が多いのではないか」と指摘している。
 介護休業給付金は2週間以上にわたり常時介護が必要な家族のための休業取得などに支給される。公共職業安定所に申請する。原則で賃金月額の40%を受給できる。労働局によると13年度に介護休業を取得し、介護給付金を受給した人は203人。04年度は74人で、取得者は10年間で約3倍になっている。同局は同給付金受給者数のみ把握しているが、受給者以外の介護休業取得者も増加しているとみている。
 一方、就業構造基本調査によると、県内で介護をしている労働者は約2万9千人と推定され、そのうち介護給付金の申請者と申請しなかった人を合わせた介護休業利用者は400人と推定している。取得率は全国35位で、最も高かったのは東京都で7・7%だった。
 厚生労働省の12年度雇用均等基本調査によると、介護休業取得者がいる事業所は、規模500人以上では31・5%、100~499人は10・3%、30~99人は2・4%、5~29人は0・7%で、事業所規模が小さくなるほど取得率が低下している。
 沖縄労働局の雇用均等室は「大企業が集まる東京など大都市圏の取得率が高くなっている。沖縄県内は中小・零細企業が多く、制度を利用できる環境整備が進んでいないのが、取得率が低い要因ではないか」と推測する。(大嶺雅俊)