新たな歴史へ夢の共演 シュガーホール20周年音楽祭


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 南城市文化センター・シュガーホールの開館20周年を記念した国際音楽祭が8日、同ホールで開かれた。県内初の音楽専用ホールとして産声を上げた同ホールの節目を祝おうと、多くの市民が訪れた。

 コンサートに先立ち、式典が行われた。シュガーホールオーケストラによるファンファーレが高らかに鳴り響く。三線、太鼓だけでなく、金管楽器などオーケストラの音色により、祝典舞踊として披露された「かぎやで風」を大胆にアレンジ。いきなり観客の度肝を抜く。
 コンサートはワグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガーより『第1幕への前奏曲』」で幕を開ける。指揮者の柴田真郁が振るうタクトに合わせて、オーケストラのメンバーが躍動する。柴田の指揮が終盤に向かうにつれ、力強さを増していく。フィナーレを迎え、一瞬の静寂ののち、拍手が湧き起こった。
 続いて、新人演奏家にとっての登竜門「シュガーホール新人演奏会」の歴代入賞者をソリストに迎えての演奏が始まった。第6回入選の福富祥子(チェロ)がオーケストラをバックに、繊細な指使いで奏でる音色が会場を包み込む。第16回グランプリの重島清香(メゾ・ソプラノ)は本場ドイツでの活躍を感じさせる歌声を響かせる。マーラー「フリードリヒ・リュッケルトによる5つの歌曲集」の「私の歌を覗き見しないで」では切ない女心を表現する。
 シルバー歌声コーラスきらり、女声コーラスウイングスきらり、シュガーホール・ジュニアコーラスが「芭蕉布」を歌い上げる。
 締めくくりは琉球伝統音楽、オーケストラ、舞踊が一堂に会する夢の共演。沖縄民謡の「黒島口説」を演奏。3種の芸能が融合し、にぎやかに締めくくった。
 ホール開館20年を記念し、南城市やホールにゆかりのある音楽家らが多数出演し、自身を育ててくれた感謝の思いが込められた音楽祭。温かな空気に包まれ、興奮冷めやらぬままに幕を閉じた。地域に根差したホールは、新たな歴史の1ページを刻んだ。(大城徹郎)

開館20周年を盛大に祝った記念音楽祭=8日、南城市文化センター・シュガーホール
フィナーレを盛り上げる「黒島口説」