国依存度突出せず 沖縄経済学会、基地経済誤解を議論


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
基地経済依存などの誤解についてさまざまな数値を用いて分析した沖縄経済学会のシンポジウム=30日午後、宜野湾市の沖縄国際大

 沖縄経済学会は30日、「沖縄経済の誤解と発展の可能性」と題したシンポジウムを宜野湾市の沖縄国際大で開き、沖縄経済が基地に依存しているといった誤解の解消をめぐって議論した。国と地方の財政関係について、沖縄と類似した県との比較を用い、各指標で沖縄の劣位が強調される理由や基地依存についての誤解について分析した。

 池宮城秀正明治大教授は基調講演で、財政力が弱い他県との比較として、沖縄は人口密度が高いこともあり1人当たりの行政コストは低いことや、財政構造に他県との大きな違いはないことを示し、「沖縄県財政の国への依存度が47都道府県の中で突出しているわけではない」と指摘した。
 宮城和宏沖国大教授は、政府の沖縄に対する財政政策について、米軍の駐留を継続させるために沖縄側の要求に応じていると報告。だが、一括交付金制度の下でも財政の自由裁量度は他県に比べて小さくなっている可能性があると指摘し、「いまの振興体制が役立っているのか、見直す必要がある」と述べた。
 宮田裕琉球大非常勤講師は、復帰から現在まで約10兆円の沖縄振興開発事業費が投下された一方、その間の沖縄の納税は約8兆円に上ると分析結果を説明した。さらに基地返還後の経済効果などから基地依存の誤解をただした。