名蔵湾カルスト鮮明に 九大グループ、3次元海底図を公表


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 【石垣】九州大学大学院比較社会文化研究院の菅浩伸教授らの研究グループは25日、2012年に石垣島の名蔵湾で発見された日本最大級とみられる沈水カルストの3次元海底地形図を公表した。湿潤熱帯域の沈水カルストが高解像度で地形図化されるのは初めてという。

 名蔵湾の沈水カルスト地形は当時、岡山大学に在籍していた菅教授らの研究グループがサンゴ礁の防波堤としての役割を調べるため、3次元測量を実施した際に、沈水ドリーネ(洞窟・くぼ地)や河川跡などを発見し、多様な地形であることが明らかになった。
 研究では名蔵湾中央部の幅1・85キロメートル、奥行き2・7キロメートルの範囲で、専用の測深機を使って水深1・6~58・5メートルを測量し、さらに潜水調査などを実施して、地形図を作製した。
 沈水カルストは石灰岩など溶けやすい岩石が地下水系によって浸食されできた地形が、海面上昇によって水没したもの。
 菅教授は「名蔵湾は地形の起伏が大きく、湾内に多様な環境が存在し、生物多様性が高い海域である可能性が指摘できる。将来、独特の生態系が発見される可能性がある」と期待し「海底地形図は今後の研究や沿岸域の環境管理に役立ててほしい」とした。