「双児物語」与座兄弟の芸継承 主役に朝惟の子、孫


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射止めた鳥(小林美奈子)を奪い合う双子(与座朝奎=右、与座幸賢=左)=8月24日、金武町立中央公民館

 沖縄俳優協会の島巡り金武公演が8月24日、金武町立中央公民館で開催された。時代舞踊歌劇「双児物語」(伊良波尹吉作)と喜歌劇「首里上り小」(伊良波作)を上演した。「双児物語」は与座朝惟、ともつね兄弟が20代から演じてきた作品。兄弟の芸を継承しようと朝惟の息子朝奎と孫幸賢が主役に挑んだ。

 「双児物語」は、南風原按司(新垣勝夫)が本妻(玉城政子)との子宝に恵まれず、妾(真栄田文子)との間に双子(朝奎、幸賢)が生まれる。本妻は臣下に言い付けて双子を海に流し、妾に罪をかぶせる。別々に育った双子は再会し、母を助け出す。
 見どころの一つは双子が射止めた鳥を奪い合うところだ。鳥(小林美奈子、国吉亜希子、城間やよい)と双子の踊りで構成される楽しい場面だが、もう少し踊りが決まると良かった。神(糸数きよし)に兄弟だと教えられ双子が喜ぶ場面では、相手の肩に手を置いて面を掛ける組踊の様式が取り入れられ、興味深い。
 母を助け出す終盤はせりふを口説に乗せてテンポ良く展開。悪事を見抜く神童(立花愛希)はミステリアスな味わいをもたらしたが、観客から役どころが分かりにくいとの声も聞こえた。
 「首里上り小」はうちなーぐちを禁じる戦前の風潮を逆手に取った笑いで沸かせた。出演は嘉陽田朝裕、小嶺和佳子、与座正恵、大城常政、宮里良子ら。地謡は仲宗根盛次、金城清徳。