渡嘉敷―前島間サバニで“完漕” 中学生17人初挑戦


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渡嘉敷―前島間往復16キロをサバニで完漕した渡嘉敷中学校の生徒たち=8月30日

 【渡嘉敷】渡嘉敷村立渡嘉敷中学校(上原義弘校長)の生徒17人(男8人、女9人)が8月30日、渡嘉敷港から同村前島の東側旧集落浜辺まで8キロ余の海域をサバニで往復した。子どもたちによる前島往復は初めて。約6時間かけて見事に“完漕(かんそう)”、先人たちのロマンを再現、海で育った“とかしきっ子”の心意気を示した。

 サバニこぎ体験を通して先人たちの知恵と苦労を体感し、困難を乗り切る充実感と達成感を得ることなどを目的に、渡嘉敷幼・小・中学校PTA(座間味秀勝会長)が主催した。
 同中のサバニこぎ島巡りは、30年前の中学生が慶良間一周を果たして以来の体験となった。
 この日は好天にも恵まれ、渡嘉敷の漁師が使用していたサバニに生徒9人が乗り込み、潮流が激しい海域を波と船酔いと闘いながら全員が2~3交代で必死にこいだ。
 かつて前島は多くの住民が住んでいたが、現在は3人が住んでいる。上陸した生徒たちは、旧校舎や集落跡地などを見学した。
 生徒たちが夕刻、渡嘉敷港に無事に帰港すると、多数の村民が横断幕を掲げて出迎えた。
 山本哲平君(1年)は「疲れて大変だったが前島についたら『やったぞう~』と万歳した」と誇らしげに話し、玉城風香さん(同)は「めちゃきつかったけど、最後まで諦めずにこげて良かった」と胸を張った。
(米田英明通信員)