貝殻の金銭「記録にない発見」 首里城出土


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金銭入りのチョウセンサザエが発掘された御嶽跡付近=1996年、首里城京の内(県教育庁提供)

 首里城敷地内で出土した貝殻の中からことし2月、金の埋納銭8枚が発見されたことについて、専門家からは「これまでの記録にない発見だ」など、重要性を指摘する声が上がった。

 琉球大学法文学部の池田栄史教授(考古学)は「わざわざ金銭をサザエに入れて、ノロしか立ち入れない神聖な場所に埋めていた」と発見された状況について言及。「このような記録は見つかっていない。何らかの目的を達成するための、何か特別な祭祀(さいし)がされていたのではないか」と推測した。
 貝類研究者で千葉県立中央博物館の黒住耐二主任上席研究員は「貝殻を埋納容器として使うのが(貝類の豊富な)沖縄ならではだ。本土では陶磁器を埋納容器として使う」との見解を示した。
 発見された8枚と同種類の金銭は1956年以降、南城市知念の斎場御嶽や那覇市首里当蔵町の園比屋武御嶽など「聖地」から17枚が発見されていた。今回も首里城敷地内の神聖な場所とされる「京の内」で発見された。