下地島空港で宇宙機開発 本土ベンチャー検討


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 宇宙機開発などに取り組むベンチャー企業「PDエアロスペース」(名古屋市、緒川修治社長)が宇宙機開発や宇宙旅行などの拠点として、県管理のパイロット訓練飛行場・下地島空港(宮古島市)の利用を検討していることが分かった。

航空会社の利用が激減している同空港で、新たな利活用の選択肢として注目される。同社は関連企業約10社の協力を得て、県が10月から開始する同空港の利用事業者募集に応募する準備を進めている。
 同社は2007年5月に設立。宇宙航空研究開発機構(JAXA)や大学などの研究機関や企業と連携し、高度100キロまで飛行できる宇宙機の開発に取り組んでいる。無人機を先行開発中で、東京五輪が開催される20年末までに有人機の運用を目指している。今後の需要増加が予測される宇宙旅行者のための訓練や人工衛星の打ち上げなども見据える。
 緒川社長は下地島空港を選ぶ理由に関し、国内の他空港との比較も踏まえ「海に囲まれ、訓練で飛行空域が確保されているのは良い」と好条件を理由に挙げた。
 県空港課は下地島空港を利用する事業者を10月上旬から12月上旬にかけて公募する予定。同課は、宇宙機開発が提案される可能性も踏まえ、利用事業者を選定する視点に関し「実現性、持続性も含め、どういう事業になるのか見ていきたい」との考えを示している。
 県は12年度に宇宙開発関連の活用案も可能性があると位置付け、実現性を模索した経緯もある。13年度には総合防災訓練施設や航空機整備・修理を担うMRO産業としての活用案も浮上した。(古堅一樹)