子ども認める環境を 水谷氏が基調講演


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子どもたちに「愛されている自覚を持たせてほしい」と訴える夜回り先生こと水谷修さん=12日、浦添市のてだこホール

 県や県教育委員会、県警は12日、子どもたちの深夜徘徊(はいかい)を防ごうと、浦添市のてだこホールで「沖縄深夜はいかい防止フォーラム」を開いた。「夜回り先生」として知られる元高校教諭の水谷修さんによる基調講演「深夜はいかい防止のために~子どもたちに、今何が必要か~」のほか、中学生と高校生が参加してのパネルディスカッションも行われた。

 水谷さんは子どもたちが夜の街で薬物や性犯罪などの危険にさらされている現状を、実例を交えて語り、「子どもたちは学校、家庭で大人のいらいらを押し付けられている。『何やってるんだ』『だめなやつだ』などと否定され続けることが深夜徘徊や薬物、売春などにつながっている」と指摘した。「人間は評価される中で明日を生きる力を持つ。(子どもたちが)自分を認めてもらえ、『かしこい』『よくやった』などの美しい、優しい言葉であふれる学校や家庭をつくり、愛されている自覚を持たせてほしい」などと訴えた。
 水谷さんが進行役を務めたパネルディスカッションには、浦添中学校2年生の久々宮(くぐみや)ゆいさんや宜野湾高校3年生の仲里みのりさん、教育関係者、少年補導員など6人が出席した。仲里さんは深夜徘徊をなくすには「大人が子どもとコミュニケーションを取ることが必要」と語った。また、子どもの非行に悩む親や、育児放棄(ネグレクト)などの虐待に気付いた周囲の人間がどこに相談すればいいのか分からず苦悩するといった実例も挙げられ、行政や警察など関係機関の相談窓口を一元化し、速やかに支援と指導を行うことの必要性なども議論された。