区民、組踊を熱演 6年に1度「野嵩マールアシビ」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【宜野湾】子(ね)年と午(うま)年の6年ごとに行われる宜野湾市野嵩一区の「野嵩マールアシビ」(七年周期村芝居)が14日、同区の遊びな公園で盛大に開催された。同区の十八番、組踊「忠臣護佐丸」では、区民による1時間以上にわたる物語が繰り広げられ、玄人はだしの熱演に客席から「したいひゃー(よくやった)」などと拍手、声援が飛び交った。

 マールアシビは五穀豊穣(ほうじょう)、無病息災を祈願する行事として1860年ごろに始まったとされる。旧暦8月15日前後の3日間行われ、芝居は午前10時ごろから深夜に及び、近隣地域からも見物客が押し寄せるほど活況を呈したという。1948年の開催後は長く中断されていたが、90年に復活した。
 「護佐丸・阿麻和利の変」で護佐丸の妻子が野嵩に逃れたことから、同区では「忠臣護佐丸」が恒例の村芝居となっている。今も残る野嵩石畳道は、阿麻和利の追っ手が放った矢で妻子の袖が引き離されたことに由来し「袖離れ坂(スディバナビラ)」とも呼ばれる。
 マールアシビではそのほか、親子の情愛を歌った時第歌劇「真玉橋由来記」、舞踊「野嵩小唄」など地域の老若男女が総出で舞踊や歌劇を演じた。区で伝統行事の継承に力を入れている桃原隆盛さんは「区民総出の村芝居は心に染みる。これからもずっと続けていきたい」と語った。

組踊「忠臣護佐丸」で、中城城主護佐丸と勝連城主阿麻和利の両雄の物語を演じる区民=14日夜、宜野湾市野嵩
区民総出の村芝居に見入る地域住民ら