三線とバイオリン、響く音色 山内昌也、岡田光樹


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三線とバイオリンの音色で調和を演出する山内昌也(右)、岡田光樹=15日、浦添市てだこホール小ホール

 山内昌也(歌三線)、岡田光樹(バイオリン)の「リサイタル 永遠の響きII」が15日、浦添市てだこホール小ホールであった。2013年12月に続き2回目の開催。琉球古典音楽とクラシックの出合い、東洋、西洋の音楽の融合。初演の楽曲もあり、山内、岡田の響かせる旋律が見事に調和した。

 第1部では三線とバイオリン、それぞれの魅力を紹介する。山内は「作田節」「早作田節」を披露。三線の乾いた音色とともに、しなやかな指使いが加わり、山内の歌が響き渡る。岡田はバッハ「無伴奏バイオリンソナタ第2番イ短調BWV.1003」を繊細に奏でる。ゆったりとした曲調から、軽く急速なテンポとが入れ替わり、たたみかけるように演奏が終盤に向かっていった。
 第2部は2人の協演。舞踊「かせかけ」から「干瀬節」「七尺節」を演奏する。山内の三線の音色に岡田のバイオリンの旋律が見事に重なると、舞台上で女性が歌っている姿を想像させる。山内の三線に合わせ、岡田が弦をなでるように優しく触れるしぐさでは女心を表現していった。演奏が終わると観衆からは感嘆の声や拍手が湧き起こった。
 近藤春惠が2人のために作曲した「Mo―Ashibi II」はこの日が初演。バイオリンの音色が潮風、波の音など自然の響きなどさまざまな風景を演出していく。バイオリンの高音と旋律が会場中を駆け巡る。三線との掛け合いから中盤から終盤にかけ、2人の音色が折り重なる。カチャーシーのように徐々にテンポが速くなっていく。一瞬一瞬で展開の変わる演奏に観客は目を見張った。続く「汗水節」は歌三線に合わせ、岡田がバイオリンの弦を指で弾き、太鼓の音のような低音で和を演出する。「だんじゅかりゆし」はバイオリンの音色が歌い、跳ねる。アンコールでは沖縄民謡「てぃんさぐぬ花」を披露し、リサイタルを締めくくった。
 2人の「新たな発見、発信のために」との思いから始まったリサイタル。試行錯誤を繰り返しながらも東洋と西洋の融合に、無限の可能性を感じさせた。(大城徹郎)