有事に長崎揚陸艦使用 米識者明言 沖縄の優位性矛盾


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アロイシャス・オニール氏

 【ワシントン=島袋良太本紙特派員】1990年代半ばに在沖米総領事を務めたアロイシャス・オニール氏が、米国務省系の研究機関が行った退任後のインタビューで、有事の在沖海兵隊の運用に関して「佐世保(長崎県)の強襲揚陸艦が海兵隊員を拾った上で、例えば朝鮮有事に送る」と説明していたことが分かった。

 朝鮮半島有事の際の在沖海兵隊の運用に関しては、佐世保の揚陸艦がいったん沖縄に南下して海兵隊員を乗せ、再び北上して朝鮮半島へ向かう可能性が指摘されている。その非合理性から沖縄に海兵隊を置く「地理的優位性」を否定する根拠の一つとされているが、米当局者がこれに言及するのは珍しい。
 同氏は1994~97年に在沖総領事を務めた。インタビューは「外交研究・研修協会」が外交史の記録目的で2008年に行った。
 海兵隊の有事の役割に関しては、県が2011年、防衛省への質問で「佐世保配備の強襲揚陸艦が沖縄に往復し、隊員を乗せて朝鮮半島に向かうことが想定される。海兵隊の地上部隊が九州や本州に駐留する場合に比べ、沖縄駐留の方が迅速な対応となるのか」と沖縄駐留に疑問を示している。
 これに関し12年に森本敏防衛相(当時)が「日本の西半分のどこかに(海兵隊の部隊編成単位である)MAGTF(マグタフ、海兵空陸任務部隊)が完全に機能するような状態であれば沖縄でなくてもよい。軍事的に言えばそうなる」と述べている。
 オニール氏はインタビューで普天間飛行場の辺野古移設計画に関して「面積や騒音、訓練の影響を許容範囲まで最小化する」と評価。
 一方で「沖縄の中心部から北部の訓練場まで兵隊を拾いに行っているものが、すぐそば(キャンプ・シュワブ沖)に移る。実現すれば改善になる」と述べ、海兵隊の機能も強化されるとの認識を示した。